近年はエネルギー価格や建築資材の高騰などで、建築費が従来より負担が大きくなっている傾向にあります。
そんな中で、「何かいい補助金制度はないかな?」と悩まれている方も多いですよね。
子育てグリーン住宅支援事業は省エネ住宅の新築やリフォームに対して、一定額の補助を行う制度です。
この記事では、子育てグリーン住宅支援事業の具体的な内容と申請するメリットについて解説します。
この記事を読むことで、補助制度をうまく活用して、家計の負担を軽減し、理想の住まいを手に入れる具体的な方法を考えられるようになるので、
ぜひ参考にしてみてくださいね。
子育てグリーン住宅支援事業とは住宅の省エネ化などを目的にする補助金制度

子育てグリーン住宅支援事業は国土交通省が管轄する補助金制度です。
政府が掲げている2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、子育て世帯や若者世帯を対象に省エネ住宅の新築やリフォームにかかる費用を一部補助します。
カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量と吸収量を同等にし、実質ゼロを目指すことです。
ここでは、子育てグリーン住宅支援事業が対象となる住宅とリフォーム内容について詳しく解説していきます。
3つに分類される省エネ制度が高い新築住宅
省エネ住宅は以下の3つに分類されます。
- GX志向型住宅…脱炭素化を目指し、省エネ性能がZEH水準を上回る住宅
- 長期優良住宅…省エネや耐震性を高め、長期間使用するのに適していると都道府県や市区町村から認定を受けた住宅
- ZEH水準住宅…省エネ性能を高めた住宅
2024年度に実施されていた「子育てエコホーム支援事業」から新たに「GX志向型住宅」が追加されました。
それぞれの住宅が満たすべき要件については、「新築住宅の省エネ性能」を参考にしてみてくださいね。
(参考:子育てグリーン住宅支援事業HP)
リフォームの対象内容
建築から1年経過した住宅または過去に人が住んだ住宅で行なったリフォームが対象になります。
リフォーム内容は以下の8つです。
- 開口部の断熱改修(ガラス交換、ドア交換、外窓交換、内窓設置)
- 躯体の断熱改修(外壁、屋根、天井または床)
- エコ住宅設備の設置(太陽光熱利用システム、節水型トイレ、節湯水洗など)
- 子育て対応改修(ビルトイン食洗機、浴室乾燥機など)
- 防災性向上改修
- バリアフリー改修
- 空気清浄機能・換気機能付エアコン
- リフォーム瑕疵保険等への加入
子育て世帯に有益なリフォームとしては
- ビルトイン食洗機(2.5万円/1戸)
- 浴室乾燥機(2.3万円/1戸)
- 宅配ボックス(住宅専用:1.1万円/1戸、共用:1.1万円/ボックス)
などがあります。子育て世帯にとって家事負担が大幅に削減できるので、リフォームを検討している方は参考にしてみると良いでしょう。
子育てグリーン住宅支援事業の対象者と補助額

ここでは、子育てグリーン住宅支援事業の対象者と補助額について解説します。
今、検討している住宅やこれから検討する際に、要件を満たしているか確認してみてくださいね。
新築住宅の場合
新築住宅の場合、住宅によって対象世帯が異なります。
また、グリーン住宅支援事業者と不動産売買契約を締結し、新築分譲住宅を購入する人も対象になります。(参考:子育てグリーン住宅支援事業HP「新築分譲住宅の購入」)
対象世帯と対象額について
対象住宅 |
対象世帯 |
対象額 |
GX志向型住宅 |
すべての世帯 |
160万円/1戸 |
長期優良住宅 |
子育て世帯 若者夫婦世帯 |
80万円/1戸 |
ZEH水準住宅 |
子育て世帯 若者夫婦世帯 |
40万円/1戸 |
子育て世帯と若者夫婦世帯の条件は以下の通りです。
- 子育て世帯…申請時に、令和6年4月1日時点で18歳未満の子を有する
- 若者夫婦世帯…申請時に夫婦であり、いずれかが令和6年4月1日時点で39歳以下
また、長期優良住宅とZEH水準住宅は古家の除去を行う場合は、追加で20万円/1戸の補助金が受け取れます。
新築住宅の要件とは
新築住宅としては以下の6つを満たしている必要があります。
- 証明書などで、住宅の性能が確認できる
- 購入者が住むことが確認できる
- 住居の床面積が50㎡以上240㎡以下
- 住宅の立地が、「土砂災害警戒区域」などに該当しない(詳しい該当要件について)
- 建築基準法に基づいて、未完成または完成から1年以内
- 2026年1月31日時点で、一定以上の出来高の工事が完了している
リフォームの場合
リフォームの対象者はグリーン住宅支援事業者と工事請負契約を締結し、リフォーム工事をする方、リフォームする住宅の所有者等であることです。
対象になる工事は必須工事と任意工事があり、必須工事のうち2つ以上を実施した場合に、補助対象になります。
補助上限額は
- 必須工事を全て実施…上限60万円/戸
- 必須工事のいずれか2つを実施…上限40万円/戸
対象リフォームは以下の通りです。
対象 |
カテゴリー |
必須工事 *2つ以上の工事を実施で補助対象 |
|
任意工事 *2つ以上の必須工事を行った上で実施すると補助対象 |
|
(参考:子育てグリーン住宅支援事業HP)
対象リフォームは細かい基準があるので、事前に確認しておくと良いでしょう。
子育てグリーン住宅支援事業の申請方法の具体的な流れ

ここからは、子育てグリーン住宅支援事業の申請方法について解説していきます。
【新築住宅の場合】
- 登録事業者を選ぶ
-
工事請負契約または不動産売買契約を締結
- 共同事業実施規約を結ぶ
- 必要書類の準備(住民票や本人確認書類など)
- 予約申請:任意(事業者が行うことで予算を確保)
- 交付申請(基礎工事完了から申請が可能で事業者が代行)
- 工事内容の進捗状況を確認(基礎工事より後の工事)
- 交付決定のお知らせ
- 実績報告→補助額の決定
- 振り込み確定のお知らせ(事業者経由で建築主へ)
【リフォームの場合】
- 登録事業者を選ぶ
- 工事請負契約、共同事業実施契約を締結
- 工事着手
- 予約申請(任意)
- 工事の完了、工事費の精算
- 交付申請
- 交付決定と振込のお知らせ
申請は、事業者が主に行うので、建築主は必要書類となる住民票や本人確認の書類を準備しましょう。
子育てグリーン住宅支援事業の注意点

ここでは、子育てグリーン住宅支援事業の注意点についてまとめました。
利用する際に参考にしてみてくださいね。
建築会社が子育てグリーン住宅支援事業者である必要性
子育てグリーン住宅支援事業制度は、補助対象者に変わり、交付申請や補助金の交付、還元をするものとして登録されているグリーン住宅支援事業者を選ぶ必要があります。
グリーン住宅支援業者については、こちらから検索することができます。
(参考:子育てグリーン住宅支援事業HP)
予算が上限に達してしまうと早期終了してしまう
子育てグリーン住宅支援事業は予算が設定されており、予算に達した時点で交付申請の受付が終了します。
GX志向型住宅は、2025年7月に予算条件に達したため、終了しています。
申請時期は3期に分かれている
子育てグリーン住宅支援事業の新築住宅に関する交付は以下の3期に分かれています。
- 第Ⅰ期:2025年5月14日〜5月31日
- 第Ⅱ期:2025年6月1日〜6月30日
- 第Ⅲ期:2025年7月1日〜12月31日
それぞれ予算が上限に達すると終了してしまうので、申請を考えている場合は早めに事業者との相談が必要です。
子育てグリーン住宅支援事業を活用するメリット

ここからは、子育てグリーン住宅支援事業を活用するメリットについて紹介していきます。
実際の暮らしのシーンをイメージしながら、自身が住宅を建てる際のメリットについて考えてみてくださいね。
光熱費を抑えられ家計負担を軽減できる
子育てグリーン住宅支援事業を活用することで、省エネ性能の高い住宅に住むことができます。
断熱性の向上や高性能なエアコンの導入で、冷暖房にかかるエネルギーを大幅に削減でき、結果的に光熱費削減につながります。
子育て世帯にとって物価高は家計の大きな負担になります。
そのため、毎月の光熱費を安定的に抑えられることは、将来の暮らしに余裕を生み出す大きなメリットになるでしょう。
安全性の高い住宅に住める
子育てグリーン住宅支援事業に該当する、長期優良住宅やZEH水準住宅は、一定の安全性、耐震性を備えた住宅です。
特に、小さな子どもがいる家庭にとって、台風や地震などの自然災害に備えられることは、大きな安心感につながります。
安心して過ごせる環境は、ママやパパの心の負担を減らし、家族が安心して長く過ごせる住宅の基盤になるでしょう。
家事負担が軽減できる
子育てグリーン住宅支援事業の補助対象には、省エネ設備だけでなく家事をサポートする住宅設備も含まれています。
例えば、食洗機や浴室乾燥機を導入すると、毎日の家事にかかる時間を大幅に削減できます。
家事負担が軽減されると、忙しいママやパパにとって「家事が楽になる」というメリットだけでなく、家族との時間を増やすことにもつながります。
子育てグリーン住宅支援事業を活用して快適な暮らしを手に入れよう

子育てグリーン住宅支援事業は省エネ性能や耐震に優れた住宅の新築やリフォームにかかる費用を補助する制度です。
子育てグリーン住宅支援事業を活用することで、光熱費を抑えて家計の負担を軽減できるだけでなく、安全性の高い家に長く住むことができます。
また、高効率な設備の導入で、家事負担を減らし、子どもとの時間を増やしたり、将来の生活にもゆとりを持たせられます。
経済面、生活面、安全面のすべてにメリットがある制度なので、賢く活用し、家族にとって快適な暮らしを手に入れてくださいね。
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