自分が所有する不動産を売却するとき、一般的には不動産会社に査定を依頼し価格を設定してもらいます。
しかし、実際にどのような根拠で価格が査定されているかを知っておかなければ、提示された価格が適正価格なのかどうかはわかりません。
この記事では、不動産売却価格の決め方と、査定の根拠となる指標から売却価格を決める手順や注意点などについて詳しく解説します。
不動産売却価格の基となる指標
不動産を売却する際の価格における根拠となる指標として、次の5点を挙げました。
- 公示地価
- 基準地価
- 固定資産税評価額
- 相続税評価額
- 路線価
ここからは上記5点について詳しく解説します。
公示地価
公示地価とは、国土交通省が毎年1月1日時点の全国の土地価格を公表するもので、不動産鑑定士が評価しているため、おおよそ時価に近い指標とされています。
公示地価は、自分の所有する不動産がどのくらいの価値を持つかを判断するのに役立つ指標で、売却査定における大きな根拠のひとつです。
公示地価は、買主、売主にとって取引の透明性を高め、安心して購入を検討できる材料となります。
不動産会社に査定を依頼する際も、事前に公示地価を確認しておけば、提示された査定額が妥当かどうかの判断材料となるでしょう。
基準地価
基準地価とは、各都道府県知事が、不動産鑑定士に評価を依頼し、毎年7月1日時点の価格を公表するものです。
公示地価と同様に、基準地価は土地の客観的な価値を示す公的な指標であり、おおよそ時価に近いとされています。
公示地価が1月1日時点なのに対し、基準地価は7月1日時点ですので半期ごとの価格推移が
把握可能です。
基準地価も大きな根拠のひとつといえます。
固定資産税評価額
不動産売却を検討する際、固定資産税評価額も把握しておきたい指標です。
これは、各市町村長が、総務大臣が定める固定資産評価基準に基づき設定します。
毎年、不動産の所有者に対して納税通知書が送られ、固定資産税を納税しますが、この書面にも記載されていますので、比較的取得しやすい指標です。
この評価額は、土地・家屋の所有者から固定資産税などを徴収する目的で算出され、土地についてはおおよそ公示地価の70%を目安に設定されます。
直接的な売却価格とは異なりますが、公的な評価額として、不動産の価値を測る上での参考情報です。
相続税評価額
国税庁が毎年1月1日時点の価格として、路線価図や評価倍率表を用いて公表しているのが相続税評価額です。
この評価額は、おおよそ公示地価の80%を目安に設定されており、主に相続税や贈与税を計算する際の基準となります。
固定資産税同様、直接の売却価格とは異なりますので、そのまま査定価格に反映させられませんが、重要な指標といえるでしょう。
路線価
不動産を売却する際、路線価という言葉を耳にするかもしれません。
これは、道路に面した土地の1平方メートルあたりの単価を指します。
一般的に路線価といえば、相続税や贈与税を計算する際の基準となる相続税路線価を指すことが一般的です。
国税庁が毎年1月1日時点の価格として公表し、その年の1月1日から12月31日までの間に相続や贈与で土地を取得した場合に適用されます。売却価格の直接的な目安ではありませんが、税金評価の基準として、自身の不動産価値を測る上で参考になるでしょう。
不動産売却価格を決めるための手順とは?
売却価格の査定を依頼する前に自分たちでもしっかりと決めておかなければいけないことがあります。
ここからは、不動産売却価格を決めるための基準について解説します。
ローンの残高を確認する
不動産売却を考える際、まず何よりも重要になるのが、現在残っている住宅ローンの残債額を確認することです。
不動産売却により得たお金は、何よりもまず住宅ローンの残債返済に充当しなければいけません。
つまり、売却によってローンを一括返済できるのか、それともまだ残ってしまうのかを事前に把握しておく必要があります。
住宅ローンの残債が多い場合、たとえ不動産を売却できたとしても、売却額がローン残債を下回ってしまう可能性があります。
これがオーバーローンと呼ばれる状態です。
オーバーローンになってしまうと、不動産を売却するために売却金額では足りない部分を手出しする必要があります。
オーバーローンを避けるためには、住宅ローンの残債額よりも高い価格で不動産を売却することが必須です。
自分たちなりの最低売却価格を決める
不動産売却において、住宅ローン残債の確認の次は、最低売却価格の設定が必要です。
最低売却価格の決め方としてポータルサイトで類似物件を参考にする方法などが挙げられます。
類似物件を探す際は、築年数、床面積、設備、立地(駅距離など)、リフォーム状況といった条件を細かく設定し、ご自身の物件に近いものをチェックしましょう。
なぜこのような手順が必要になるかというと、市場価格とかけ離れた高すぎる価格設定は、買い手がつかない原因となるためです。
しかし、価格を低く設定しすぎるとオーバーローンの可能性も考えられます。
類似物件の相場を参考に、現実的な最低売却価格を見極めることが、スムーズな売却への鍵となるでしょう。
査定を依頼する
最低売却価格を決めたら、最終段階として不動産会社に物件の査定を依頼します。
このステップは売却の成否を分けるため、特に慎重に進めましょう。
重要なのは、必ず複数社に査定を依頼することです。
一社だけの査定では、それが適正価格か判断できません。
各社の査定額を比較することで、より客観的な市場価値が見えてきます。
ただし、単に査定額が高い会社を選ぶのは危険です。
高額な査定を提示する会社の中には、媒介契約を得るために不相応な価格を提示し、後で大幅な値下げを要求するケースも少なくありません。
そのため、査定額の高さだけでなく、担当者の対応や信頼性、そしてその査定額の根拠が明確かといった点も重視して選びましょう。
誠実で、売却戦略を具体的に提案してくれる担当者なら所有する不動産の売却を最後まで親身にサポートしてくれるはずです。
複数の査定を比較検討し、安心して任せられるパートナーを見つけてください。
不動産売却価格を決めるときの注意点
ここからは、不動産売却価格を決めるための注意点について詳しく解説します。
相場とかけ離れて高額な価格を設定しない
不動産売却の際、売り出し価格は高すぎないように設定しましょう。
特に戸建ては査定額にばらつきが出やすいため、高額査定には注意しなければいけません。
複数社に査定を依頼することで、高すぎる査定額を見抜くことができます。
複数の査定額を比較し、類似した価格帯のストライクゾーンを見つけましょう。
この適正ゾーンこそが、市場と乖離しない現実的な価格帯といえます。
高すぎる査定は避け、適正ゾーン内の価格から売り出し価格を決定しましょう。
これにより、買い手が見つかりやすくなり、スムーズな売却に繋がります。
一括査定の活用なども有効な手段のひとつです。
しかし、少しでも高い金額で売却したいのは誰もが思うことです。
不動産を高い価格で売却する方法を知りたい方は下記サイトを参考にしてください。
【関連記事】不動産を高く売却するためにやるべきこととは? ポイントや注意点について解説
少しずつ価格を下げるのは避ける
不動産を早く売却したいなら、最初から適正価格で売り出すのが基本です。
高く売り出してから段階的に価格を下げる方法は、販売期間をいたずらに長期化させる原因となります。
適正価格とは、一般的に3ヶ月程度で売れる価格を指します。
この期間で売却を目指すなら、最初から市場に見合った価格設定が不可欠です。
もちろん、オーバーローンなどでどうしても高く売りたい場合は、段階的な値下げも選択肢のひとつでしょう。
しかし、それで高く売れるかは運任せであり、無駄な時間を消費するリスクが高いでしょう。
スムーズな売却のためには、最初から売れる価格での募集がおすすめです。
売却したいスケジュールで価格を決める
不動産売却の価格設定は、売却スケジュールに合わせるのもポイントです。
時間的な余裕があれば、査定価格より1〜2割高めのチャレンジ価格を設定し、状況を見ながら値下げ交渉に応じるといった方法があります。
市場周知まで少し時間がかかりますので、焦らずに様子を見ましょう。
ニーズがあれば高く売れる可能性もありますが、相場とかけ離れすぎないよう、不動産会社と相談が必須です。
売却を急ぐなら、最初から査定価格よりも低めに設定しましょう。
一般的に適正価格は3ヶ月で売れる目安です。
高く売り出して段階的に下げる方法は、販売期間を長期化させがちといえます。
無駄な時間を避け、スムーズな売却のためには、最初から売れる価格で売り出すのがおすすめです。
時間に余裕を持つ工夫も大切になります。
まとめ
売却価格の設定について解説しました。
不動産の売却はそう何度も経験することではないし、初めてという方も多いので、戸惑うケースも多いのではないでしょうか。
不動産売却が初めてで不安という方は、下記サイトを参考にしてください。
【関連記事】 不動産の売却で初心者が知っておくべきこととは? 知識や注意点などについて解説
価格の根拠となる指標や手順、注意点などについて解説しましたが、最も重要なポイントは信頼できる不動産会社に依頼するという点です。
自分たちである程度根拠のある売却価格を決めることができたとしても、依頼する不動産会社の対応が不誠実だと、不安感も増してしまい、なかなか売却に至らない可能性も考えられます。
相場の状況や、地域のニーズを的確にとらえ、アドバイスも正確な不動産顔者に依頼できると安心感が増し、信頼して任せることができます。
担当者との相性なども重要になりますので、複数の不動産会社に査定依頼し、対応が良い不動産会社の担当者と直接話をした上で依頼することがおすすめです。

