不動産売却において、多くの人が物件の価格にばかり注目しがちですが、実際には売却に伴う諸経費も無視できない重要なポイントです。仲介手数料や登記費用、印紙税、測量費用、引越し費用など関わる費用も多岐にわたります。
本記事では、不動産売却時にかかる諸経費の詳細について解説していきます。諸経費について理解することで、売却プロセスがスムーズに進み、思わぬトラブルを避けることができます。
不動産売却時にかかる6つの主な諸経費
不動産売却には多くの費用が伴います。その中でも特に重要な6つの諸経費について一つずつ丁寧に説明していきます。
- 仲介手数料
- 登記費用
- 印紙税
- 測量費用
- 住宅ローン一括返済費用
- 引越し費用
1. 仲介手数料
不動産会社に売却の仲介を依頼する場合、その成功報酬として仲介手数料が発生します。仲介手数料の上限は以下のように法律で決められています。
また、2024年7月1日より「物件売買価格が800万円以下の場合、最大30万円(税抜)売主から受け取ることができる」ことに変更されました。
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成約価格 |
仲介手数料の上限 |
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200万円以下 |
(税抜)成約価格×5%+消費税 |
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200万円を超え400万円以下 |
(税抜)成約価格×4%+2万円+消費税 |
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400万円を超える金額 |
(税抜)成約価格×3%+6万円+消費税 |
【例】成約価格3,000万円の仲介手数料
3,000万円×3%+6万円+消費税(10%)=105.6万円
仲介手数料の支払い時期は依頼した不動産会社によりますが、一般的に契約時半額、決済時(引渡し)半額になるケースや、決済時に全額支払うケースのどちらかになります。
また、仲介手数料はあくまで成功報酬として支払うため、途中で売却活動を終了するなど成約に至らなかった場合は支払う必要はありません。
【補足説明】
表の「仲介手数料の上限」の計算式にある「+2万円」や「+6万円」について
これは速算式(複雑な段階計算を一発で求めるための公式)です。本来の仲介手数料計算は下記の①~③を段階的に計算して算出します。
【例】成約価格3,000万円の仲介手数料の求め方
① 0~200万円 ⇒ 200万円×5%=10万円
② 201万円~400万円 ⇒ 200万円×4%=8万円
③ 401万円~3,000万円 ⇒ 2,600万円×3%=78万円
➡【仲介手数料】①+②+③+消費税(10%)=105.6万円
ただし、この方法で計算すると時間がかかるため「+2万円」や「+6万円」を用いた速算式で仲介手数料の計算をします。
2. 登記費用
不動産売却時には、所有権移転登記が必要です。この手続きは司法書士に依頼することが一般的で、依頼費用がかかります。登記費用は5万円前後ですが以下の場合、費用が数万円増額となります。
【登記費用が増額になるケース】
① 所有者が2人以上いる場合(例:夫婦での共有名義)
② 抵当権等を抹消する場合(例:売却金額で〇△銀行の住宅ローンを完済)
③ 登記簿謄本記載の住所が現住所と異なる場合(例:物件購入する以前に居住していた前住所。既に新居へ引越しており住民票移動を行っている場合)
※謄本記載の住所より2回以上住民票を移動している場合、戸籍の附票を取得いただく必要があります。
3. 印紙税
不動産売買契約書には印紙税がかかります。印紙税の額は契約金額によって異なり以下のとおりとなります。また2027年3月31日までは軽減措置が適用となっています(記事作成現在)。
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記載金額 |
本則税率 |
軽減税率 |
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10万円を超え50万円以下のもの |
400円 |
200円 |
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50万円を超え100万円以下のもの |
1,000円 |
500円 |
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100万円を超え500万円以下のもの |
2,000円 |
1,000円 |
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500万円を超え1,000万円以下のもの |
1万円 |
5,000円 |
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1,000万円を超え5,000万円以下のもの |
2万円 |
1万円 |
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5,000万円を超え1億円以下のもの |
6万円 |
3万円 |
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1億円を超え5億円以下のもの |
10万円 |
6万円 |
4. 測量費用
特に土地・戸建売却の場合、売却後に買主様との近隣トラブルを避けるために、境界標の復元や境界確定作業、現地測量などが必要となることがあります。この手続きは土地家屋調査士に依頼することが一般的で、依頼費用がかかります。
測量費用は土地の広さや場所、現地境界立会を行う隣接土地所有者の数によりますが、数十万円必要となる場合もあります。特に以下の場合は土地家屋調査士に依頼するケースが多くなります。また作業完了まで1カ月~半年程度必要な場合もあるので早めに依頼をすることが大事です。
【土地家屋調査士に依頼するケース】
① 現地に境界標がない場合
② 保管している現地測量図が数十年前に作成されている場合
③ 土地を2筆以上に分筆を行う場合
④ 建物を途中で増築している場合
5. 住宅ローン一括返済費用
売却時に住宅ローンの残債が残っている場合、決済日(買主様への引渡日)までに住宅ローンの残債を一括返済する必要があります。一括返済する際は売却代金を充当しますが、金融機関によっては一括返済手数料が発生する場合があるため注意が必要です。
金融機関に事前に確認が必要ですが、0円~3万円程度費用が発生します。また手続きを行う際は、決済日の少なくとも引越し希望日の3週間前には金融機関に連絡する必要があります。
※住宅金融支援機構の「フラット35」の一括返済手続きは1カ月以上前に申し込む必要があります。
これらの諸経費を把握し、計画的に準備することが大切です。
6. 引越し費用
売却後に新居への引越しが必要な場合、その費用も考慮しなければなりません。引越し業者への依頼費用は距離や荷物の量によりますが、数万円から数十万円が目安です。また年度末などの繁忙期には引越し料金が1.5倍~2倍程度増額するだけでなく、予約がいっぱいで引越しができないケースも出てきます。
少なくとも引越し希望日の1カ月前には予約するようにしましょう。
売却に伴う税金とその対策
不動産売却には、税金が関わることも忘れてはいけないポイントです。ここでは売却に伴う税金とその対策について解説していきます。
譲渡所得税
※税理士法人東京シティ税理事務所著「住まいと暮らしの税金の本2026」参照
不動産を売却して得た利益を「譲渡所得」と言いますが、譲渡所得には譲渡所得税が課されます。譲渡所得税は不動産の所有期間によって以下のとおり税率が異なります。
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所有期間 |
税率 |
|---|---|---|
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短期譲渡所得 |
5年以下 |
39.63% |
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長期譲渡所得 |
5年超え |
20.315% |
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長期譲渡所得 |
10年超え(所得6,000万円以下の部分) |
14.21% |
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10年超え(所得6,000万円超えの部分) |
20.315% |
※売却不動産を相続や贈与で取得した場合は、被相続人・贈与者が取得した日を引継いで計算します。
【譲渡所得の計算方法】
譲渡所得 = 譲渡収入-取得費-譲渡費用-特別控除
【例】7年前に2,000万円で購入した土地を今年2,500万円で売却、売却諸経費100万円の場合(特別控除は考慮しない)
譲渡収入(2,500万円)-取得費(2,000万円)-譲渡費用(100万円)= 譲渡所得(400万円)
➡ 税金 = 譲渡所得(400万円)× 長期譲渡所得税率(20.315%)= 812,600円
※譲渡費用には全ての売却諸経費を含めることができる訳ではありません。
【譲渡費用に含まれないもの】
① 引越し費用
② 残置物撤去費用
③ 居住期間中に発生した修繕費用や固定資産税等、不動産の維持管理のための費用
④ 抵当権抹消費用 等
特別控除について
一定の条件を満たす場合、特別控除や軽減税率が適用されることがあります。
【主な特例】
① 居住用財産の3,000万円特別控除
② 所有期間10年超えの軽減税率
③ 特定の居住用財産の買換え特例
④ 居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除
⑤ 特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除
⑥ 空家の3,000万円(2,000万円)特別控除
⑦ 土地等の平成21(2009)年、平成22年(2010)年取得の1,000万円特別控除
節税対策
節税対策として、売却前に経費をしっかり計上することや、控除制度を最大限に活用することが重要です。また、税理士に相談することで、適切なアドバイスを受けることができます。
ご興味があれば弊社提携の税理士をご紹介させていただくことも可能です。
まとめ
不動産売却には仲介手数料や登記費用など、様々な費用項目があり多くの経費が伴うため、それらの諸経費を事前に把握しておくことは非常に重要です。また、売却に伴う税金やその対策についても理解しておく必要があります。
加えて、仲介手数料や税金の支払いタイミング、経費節約の具体的な方法についても、事前に知っておくことでスムーズな売却が可能になります。そのため、予算を立てる際には、各専門家から事前に見積もりを取り、具体的な費用感を掴むことが大切です。
不動産売却における諸経費をしっかりと把握し、計画的に進めることで、予想外のトラブルを避け、安心して売却を進めることができます。不動産売却に関して不明な点などございましたら秋山グループ株式会社にお気軽にご相談ください。
この記事が、不動産売却を考えている方々の参考になれば幸いです。

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